映画 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 感想

ちょっと前に閲覧期間が終了するということで観た作品の感想。
以降、ネタバレの恐れあり。

まず、思ったよりも地味だった。

起伏は想像を越えない範囲に抑えられ、全体的に静かな印象にまとめられている。
映像はテーマに沿った薄いトーンながら綺麗に整えられている。
音楽もアルビノーニアダージョなどを効果的に使っている。
俳優、脚本も破綻しているようなことはなく、丁寧に表現されている。
字幕が苦痛に感じる場面は多かったが映画そのものが悪いわけではない。

そのくらいだろうか。

映画には色々な表現方法があるので、無理に感動する内容でなくともいい。
ただ日常が過ぎ去っていくだけの映像作品でも問題はない。
前に『テイキング・チャンス』を観たときには、淡々としすぎていて「これドキュメンタリー?」と疑問を感じたこともあったが、あれはあれで完成しているのだからケチをつけようとは思わなかった。

それと同じように『マンチェスター・バイ・ザ・シー』にも文句はない。

普段ならケチをつけそうな作品だったものの、予告編を観たときに主人公役の俳優や内容について期待しなかったので、それが良い(?)方向へ働いたようだ。最後まで主人公が『オーシャンズ11』のマロイ兄弟という意識が抜けなくて作品に浸れなかったこともあり、終わっても特に感情が動くということはなかった。

ひとつ気になっているのは終わった後に中国映画の『ただいま』を思い出したこと。
昔の映画なので内容は忘れているが、この作品と似ているわけではなかったと思う。
感性が偏っているので似てない映画にまで同じような感想を持ったのかもしれない。
マロイ(兄)のイメージからサッと切り替えられないくらいなので、頭のどこかがショートしているのだろう。

あとこの映画とは関係ないことだが、創作作品にはどうしても性格的に合う、合わないという部分がついてまわる。それはとても自然なことなのでレビューは素直に書くものだと思っている。

もちろん常識的な範囲の表現で。

しかし、たまに「ケチをつけるなら観るな」と言わんばかりのレビューを見かけると、
「え?素直に感想書くのもダメなの?」と不思議に思うことがある。

好きな作品を貶されたと感じてそう書くのだろうが、皆が同じように感じるのは無理なわけだから「そういう感想もあるのねー」くらいに眺めていれば疲れない気がする。

それもまた人によるので、別に意見するつもりで書いたわけではなく、レビューを載せることすら面倒でやったこともない自分が不思議だなーと感じたことを素直に書いただけのことなので、あしからず。

余計なことまで書いたので疲れてしまった。