三無の声は泣かせる曲の方が魅力的に感じる。
あくまで個人的に。
【三無Cover】心上秋 【忘川風華錄】
「忘川風華錄」というボ―カロイドだけのコンピがあり、その中の数曲を三無がカバーしている。曲は良いけどボ―カロイドが苦手、といった負の側面も三無が歌うことによって解消されている。また、声を除けば「忘川風華錄」の収録曲にはそれぞれテーマがあるので面白い。
こちらを参考にするとわかりやすい。
《多情岸》は曹植にまつわる曲。甄宓と表記されているので洛神賦がテーマか。
《洛阳怀》は杜甫や李白。
《易水诀》は荊軻。
《山河令》は霍去病と衛青。
《簪花人间》は李隆基、杨玉环とあるので玄宗と楊貴妃。
《栖凰》は慕容沖と苻堅の愛憎劇か?
《心上秋》は王昭君。その悲劇的な運命は多くの詩人に詠まれている。
《祖龙吟》祖龍吟。秦の始皇帝。
《如见青山》は蘇軾と佛印という宋の時代の僧。
人物については以上のようになる。たぶん。間違ってる可能性あり。
こうしてみると名前は聞いたことがあるけど詳しく知らない人物が多い。
歴史に名を残している人たちなので、有名な故事や逸話が日本にも伝わっている。
【三無Cover】祖龍吟【忘川風華錄】
祖龍吟は歌詞に含まれる赢、六国、門客などの文字から戦国時代が想像できる。
赢(えい)は秦の国姓で六国は秦以外の戦国七雄を指し、門客はこの時代を代表する食客たちのことだろう。
タイトルの祖龍という言葉は始皇帝にまつわる故事の中に残っている。
余計かと思ったが、吟について調べてみると新しい発見があった。
詳細はコトバンクに解説がある。
吟じるという意味でしか考えていなかったので、思わず唸った。
これなら始皇帝にまつわる悲しい歌、と解釈すれば悲しい曲調の意味が理解できる。
若い頃にこの時代の歴史小説が好きだったのでつい止まらなくなる。
学生の頃にハマった春秋五覇が懐かしい。
何も見ずに書き出してみた。
晋文(重耳)、斉桓、楚荘、宋文?、秦?、(呉)闔閭、(越)勾践
で残念ながらギブアップ。
斉桓晋文は基本として楚の荘王を楚荘などと書いたのは便宜上やむを得ず。
一応、間違いではないだろうが違和感がすごい。
秦は重耳の絡みで憶えているものの諡号が思い出せなくて悔しかった。
宋に至ってはすっかり忘れていた。
当時の最上の諡号が文だからという理由で適当に書いた。
正解は、斉の桓公、晋の文公、秦の穆公、宋の襄公、楚の荘王。
史書によって解釈が異なるため、呉王闔閭、越王勾践に置き換えられる場合もある。
臥薪嘗胆の故事もあるので闔閭、勾践は忘れていなかった。
中でも特に荘王が好きだった。
史書に残る逸話はとても鮮やかで痛快だが、実際のところは確認する術がない。
それでも好きなのは、脚色されて出来上がった人物像に惚れたからだろう。
24歳で世を去りながら、未だに語り継がれる霍去病。
異族の元へ嫁ぎ、その生涯を悲劇的な詩文として詠まれた王昭君。
今ではボーカロイドの題材として歌われるのだから、世の移り変わりは面白い。
今更だが三無の感想とかけ離れてしまった。
まあいいか。
彼女が歌ってはじめて輝く曲がある、と記録できればそれでいい。