『LIMBO』感想

 

『INSIDE』に手をつける前に、まず積んでいた『LIMBO』を崩した。
クリアまで約3時間。
色々な意味で何度も心が折れそうになった。

 

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以下、ネタバレあり。

 

 

『LIMBO』はとても評価されている作品だ。
ちなみに環境音以外のBGMはない。

 

プレイヤーは基本的に移動とジャンプ、オブジェクトの操作しかできない。
オブジェクトの操作とは具体的に木箱を動かしたりスイッチを押す程度に限られる。
そのため、直接敵を倒したりすることはできないが、そもそも攻撃してくるような敵は少ないので問題はない。この作品は全て攻略する「手順」のようなものがあらかじめ用意されているので、そういった敵が出てきた場合は逃げるかオブジェクトを上手く操作することで先に進めるようになっている。

 

この点は実際に触れてみるとわかるが、とにかく絶妙なバランスがとられている。
どのタイミングでオブジェクトを使うか、どういう経路で移動すればいいのか、といったことを考えなければならない。加えて、この作品は物理演算が導入されているので現実世界に近い重力や衝突判定が存在する。天井からぶら下がったロープにつかまり、振り子の原理を使って障害物を飛び越えたり、ジャンプしても届かない壁の前に木箱を置いて乗り越えたり、というような「答え」を見つけなければ先に進むことができない。

 

この工夫する過程を楽しめるかどうかで評価は変わってくる。


最初のうちは仕掛けに気付くたびに「あ、なるほど」と楽しめていたが、後半になるとバランスがシビア過ぎて舌打ちするような場面が多くなった。単純に難しいだけなら少しイライラする程度だろうが、このゲームの行程にはそれで済まない要素がある。

 

『LIMBO』でプレイヤーが操作するのは子供のキャラクターで、実際の中身は「死に覚えゲー」だ。つまり操作に失敗すれば子供が死ぬシーンを見せられることになる。それも、キノコで大きくなる配管工がビックリ顔で画面外に消えていくような生易しい描写ではない。白黒とはいえ首がちょん切れたりバラバラになったり、無駄にリアルでグロい描写が用意されている。しかもその「種類」が豊富だ。場所によっては子供が残酷な目に合う場面を何度も見ることになる。これのおかげでかなり滅入ってしまったので仕掛けを解く楽しみは次第に苦痛となっていった。

 

グロ描写についてはオプションでオフに出来ればマシだったように思うが、我儘か。
オプションで思い出したが他にも注意点がある。
まず、画面が微妙に明滅する効果がオフにできない。
ゲームを始めるとディスプレイが壊れかけの蛍光管のように薄っすらと明滅するので最初は気になるかもしれない。自分は慣れたので気にならなくなったが。
次にゲームパッドの振動機能がオフにできない。パッド側でオフにできるなら問題ないだろうが、使っているパッドはソフトウェア側で制御されているのでオプションでオフにできないのは致命的だった。

 

最後に、グロ描写と同じくらい好きになれなかった点について。
『LIMBO』はオチがハッキリしない。
これがまず性格的に合わない。
制作者が物語の結末をハッキリ描写しない作品が好きではない。
なんでこちらが考察しないといけないのか。
どんな形であれ制作者の意図なり描きたかったモノを明かしてくれないと、どうとでも解釈できてしまう。作品にもよるが、幼稚な感性を持つ自分としては消化できないオチは好きになれない。

 

さんざん苦労してたどりついた場所では、なんの説明描写もないままひとつふたつ短い情景が映ってブラックアウトする。読了感はまるでなく、最後は「え?」と思った瞬間にエンドロールが流れているという投げっぷりだ。実績は残っているがとても周回できるようなゲームではない。

 

以上の点で創作物にオチを求める人にはおススメできない。
逆に制作者から投げかけられた謎を考察するのが好きなタイプならおススメする。
また、単純にアクション部分だけを楽しみたくてグロい描写にも耐性がある人ならおススメできる。ゲームとしての仕組み自体は高い水準にあるのは間違いないからだ。

 

『INSIDE』は…しばらく積んでおくか。